Series05 暮らしを彩る道具たち
#01 お気に入りを見つけるまで。アイスコーヒーの器の話
朝、カーテンを開けると、夏の空がまぶしい。
在宅ワークの日は朝からモニターと向き合う時間が長いせいか、ほんの少し外へ出るだけでもサングラスが手放せない季節になった。
そんな暑い朝は、キッチンで氷をたっぷり入れたアイスコーヒーを淹れるところから一日が始まる。
夏になると、必然的にガラスの器ばかり手に取るようになる。
透明のグラスに氷を入れるときの、カランと響く音。グラスにコーヒーをゆっくり注ぎ入れると、氷がパチパチ音を立てて、みるみる溶け出していく。
グラスには、黒く澄んだコーヒーがゆらめく。
冷たいアイスコーヒーのグラスが視界に入ってくるだけで、気分まで涼やかになってきて。
さっきまでの汗ばむほど暑かったことが、少し遠いことのように感じられて、「今日もいつもどおりやっていこう」と、気持ちがすーっとほどけていく。
この時間がなんとも静かで、居心地の良さすら感じる。
そうやって仕事が始まる頃には、そのグラスはいつものように、パソコンの横にたたずんでいる。
アイスコーヒーは、私にとってちょっとだけこだわりのある飲み物でもある。
どの豆を使うか、どんなテクニックで淹れるかも、もちろん大切。
だけど、それ以上にこだわりたいのが、「どんな器で飲むか」ということ。
ホットコーヒーなら陶器のマグカップも好きだけれど、アイスコーヒーだけは、できるだけ口当たりが薄いグラスで飲みたい。
唇にそっと触れる繊細な縁。
冷たさがそのまま伝わる感覚。
ほんの少しの違いなのに、不思議なくらい飲み心地が変わる。
同じコーヒーでも、「おいしい」と感じる気持ちまで変わるから、器選びは意外と侮れない。
でも、今のお気に入りに出会うまでには、少しだけ寄り道があった。
はじめに長く使っていたのは、実家から持ち出したDURALEXのグラス。

丈夫で扱いやすく、毎日のように使っていた思い入れのあるグラスだ。
けれど、ほとんど毎日のようにアイスコーヒーを飲むようになるにつれて、「もう少し口当たりが薄かったら」「あとほんの少しだけ小ぶりだったら」と思うようになった。
ただ、「薄手で、小ぶりで、食洗器でも使える」という条件を並べてみると、これがなかなか見つからない。
そんな小さな願いを叶えてくれたのが、ボデガだった。
吉祥寺のアウトレットを扱うインテリアショップで見つけて、「まさにこれだ!」と感じて、一度に4つ購入した。
ときどき行くおしゃれなカフェで、このグラスを使ってお冷を出してくれたことがあり、当時から「あのカフェのグラス、どこで売ってるんだろう」と気になる存在だった。
私が出会ったのはアウトレット品だったからなのか、生産の都合によるものなのか、やや個体差があるようで、実際に手にとって感触を確かめながら選ぶのも楽しかったのを覚えている。
初めて手にしたとき、「これくらいのサイズがちょうどいい」と感じた。
とにかく薄手で、食洗器も使える。探していた条件にもぴったりだった。
シンプルで飾り気はないのに、どこか洗練されたスタイリッシュな形。
食器棚に並んでいても主張しすぎず、それでいて手に取るたびに少し気分が上がる。
アイスコーヒー以外にも、我が家では食卓でミニトマトやフルーツを盛ったり、アイスクリームやゼリーなどのデザートを入れたりするのにもよく登場している。
購入からもう10年以上たつが、今のところ一度も割れておらず、傷も目立たない。本当に末永く愛用させてもらっている。
お気に入りの道具というのは、特別に高価なものとは限らない。
毎日使って、「やっぱりこれが好きだな」と思えるものこそ、本当のお気に入りなのかもしれない。
暮らしを豊かにしてくれるものは、大きな模様替えや高価な家具だけではない。
朝のアイスコーヒーを注ぐ、ひとつのグラス。
たったそれだけのことでも、仕事を始める気持ちは少し軽くなる。
夏になると、今年もまたガラスの器を手に取る。
パソコンの横には、お気に入りのアイスコーヒー。
そんな小さな習慣が、在宅ワークの毎日に心地よいリズムをつくってくれている。
そんなふうに、気づけばもう10年以上。
今でも夏の朝になると、私はこのグラスを選んでいる。
今回ご紹介したグラスはこちらからチェックできます。


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