Series01 コーヒーと在宅ワークのあいだ
#05 午後に集中力が切れた日の一杯
軽めの昼食のあと。
5月の午後。新緑がまぶしくて、やわらかい風。
このまま、どこかへ出かけたくなるような陽気。
お昼は軽く済ませて、ついでに買い物も終わらせる。
急いで冷蔵庫にしまい、飲み物とスマホを手に、またパソコンの前へ。
さて、さっきの作業の続きから。
そう思って手を伸ばしかけて、ふと別のことを考えてしまう。
やることはわかっているのに、気持ちがあまり乗ってこない。
そんな、午後のはじまり。
このまま無理にアクセルを踏んでも、きっとうまくいかない。
そう思って、いったん、手を止める。
キッチンに立って、お湯を沸かす。
コーヒーでも淹れよう。
午後は、ブラジルの豆にする。
香りとコクのバランスが、今の気分にちょうどいいから。
冷凍庫から豆を取り出し、スケールで測る。
ミルを回し、挽きたての粉をフィルターにセット。
静かにお湯を注ぐ音。
ふんわり広がる良い香り。
それだけで、さっきまでの引っかかりが、だんだん少しずつほどけていく。
ひとくち飲んで、息をつく。
これは、無理に目を覚ますための一杯じゃない。
いったん、整えるためのコーヒー。
集中力が戻る、というよりは、
「このままでもいいんだ」と思える感じ。
思うように進まない午後も、たぶん悪くない。
そんな日もある。
少し時間がかかっても、ゆっくりとまた手を動かしていけばいい。
そう思えるだけで、ほんの少し気持ちが軽くなる。
窓の外では、変わらずやわらかい風。
どこかへ出かけたくなるような、そんな気持ちのいい午後。
カップを置いて、もう一度キーボードに手を戻す。
さっきよりほんの少しだけ、軽くなった気持ちで。

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